近衞家凞公御詠草 ―翻刻と研究―

近衞家凞公御詠草 ―翻刻と研究― 刊行のご案内

緑川明憲著『近衞家凞公御詠草 ―翻刻と研究―』(2018年2月28日発売)

 

江戸時代を代表する文化人である近衞家二十一代当主、豫楽院・近衞家凞。その博学多才、多芸多能で知られた家凞公の和歌全詠草の初翻刻!陽明文庫蔵の底本に忠実な翻刻はもとより、複雑煩瑣な添削部分を詠草末尾に〈 〉書きで再構成するなど、創意工夫も重ねられた渾身の著作。

近衞家凞公御詠草 表紙

A5判 384頁 本体12,000円(税込12,960円)

******本年8月末日まで、特別定価税込10,368円******
ISBN978-4-904470-05-3

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【目 次】
序 近衞家凞公の和歌  名和 修(公益財団法人陽明文庫 常務理事・文庫長)
序           岩松研吉郎(慶應義塾大学名誉教授)
凡 例

近衞家凞公御詠草 翻刻
《延宝四年》/《延宝五年》/《延宝六年》/《延宝八年》/《天和二年》/《天和三年》/《天和四年(貞享元年)》/《貞享二年》/《貞享三年》/《貞享四年》/《貞享五年(元禄元年)》/《元禄二年》/《元禄三年》/《元禄四年》/《元禄五年》/《元禄六年》/《元禄七年》/《元禄八年》/《元禄九年》/《元禄十年》/《元禄十一年》/《元禄十二年》/《元禄十四年》/《宝永五年)》/《宝永六年》/《宝永八年(正徳元年)》/《年代不詳》

近衞家凞公御詠草 研究
陽明文庫蔵『家凞公御詠草』解題
小考 近世近衞家歌壇の様相―『家凞公御詠草』を手がかりに
近衞家凞公略年譜
初句索引

【著者略歴】
緑川明憲(みどりかわ・あきのり)
昭和53年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部文学科卒業、同大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程単位取得退学。博士(文学)。独立行政法人日本学術振興会特別研究員(PD)、慶應義塾大学訪問研究員を経て、現在は慶應義塾横浜初等部教諭(書道・古典科)、東京大学及び慶應義塾大学非常勤講師。専門は江戸時代を中心とする国文学及び書道史。
著書に『豫楽院鑑 近衞家凞公年譜』(勉誠出版、平成24年)、論文に「「幻住庵」額筆者・寂源について 附 センチュリー文化財団蔵『寂源書簡聚』翻刻・略解題」(『三田國文』54、平成23年)、「「持明院流」考-その本質を知るために」(『書学書道史研究』22、平成24年)、「『家凞公御書翰』略解題・翻刻(上・下)」(『三田國文』57・58、平成25・26年)、「近衞家凞の茶の湯と掛物」(『茶書研究』4、平成27年)などがある。
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《凡例》より
一、本書は、公益財団法人 陽明文庫(京都府京都市右京区)に保存管理される近衞家凞公自筆の和歌を中心とする詠草類、『家凞公御詠草』を翻刻したものである。翻刻及び出版をご快諾下さった公益財団法人陽明文庫に厚く御礼申し上げる。また、毎次の調査において、陽明文庫常務理事・文庫長の名和修先生より非常に多くの御指導や懇切なる御助言を頂戴した。ここに深謝申し上げる。
なお、陽明文庫における名称は右の通り『家凞公御詠草』であるが、和歌を詠んだ人物をより明らかにするために、本書名ではその家の名である「近衞」を入れている。
一、詠草類は年月日順に配列し、正式に詠じたとされる日付をそれぞれの詠草の冒頭に記した。同年月日かつ同題で複数存在する詠草は、成立したと思われる順に配列した。具体的な日時を特定できない詠草は、宝永八年(正徳元年。一七一一)に続けて「《年代不詳》」としてまとめた。年月日順としたため、一部では函架番号の順になっていない箇所がある。
一、日付に続く【 】内の数字は、陽明文庫の『陽明文庫分類目録』による函架番号である。【 】の下に記した算用数字(単位は「点」)は、その函架番号で整理・保存されている資料の点数を表す。
一、翻刻に際しては、以下の基準を設けてこれに従った。
イ、和歌の表記は原則として一行書きに統一し、上の句と下の句との間に一文字分の空白を設けた。但し、懐紙に記された和歌は、散らし書きなど原本の再現につとめた。
ロ、詠草に付された「\」は合点を、「〃」は見せ消ちを、「=」は墨滅(抹消)を、「・」は書き入れを示す墨点を、「■」は虫損などによる未読箇所をそれぞれ示す。また、「/」は冊子本における丁の別を、各詠草末尾にある「』」は原本の料紙の別をそれぞれ表す。同一の函架番号内に「』」が複数あれば、複数の詠草類が存在することを意味する。
ハ、添削の小字及びゴチックで示した箇所は、原則として近衞家凞自筆以外の筆を示す。自筆か否かの判別が困難な箇所には、〔 〕を付した。
ニ、詠草における実際の和歌の添削では、言葉の移動を示す墨線を用いる場合があるが、この墨線は複数に交差したり、何首かを隔てた別の和歌から移動させたりするなど、複雑煩瑣であることが多い。そこで読み易さを最優先に考えた結果、本書では原則省略した。その代わりに、添削に基づいて編著者が和歌を各詠草末尾に設けた〈 〉内に忠実に再構成した。但し、再構成が不可能な場合はこの限りでない。このような再現の仕方については、中川豊氏『館蔵資料集一 織田信朝歌集『水月詠藻』』(柏原町歴史民俗資料館、平成十四年)から着想を得た。
ホ、函架番号【六一六四六】から【六一六七〇】の詠草二十五点を一括する包み紙の表書きには「被加勅筆詠草  廿五」とあり、また、【六一六四六】の端書きには「始テ新院ヘ持参則御被加勅筆」とあることにより、これらは「新院」、すなわち後西院の宸筆及び勅点であることが判明する。これ以外は基本的に近衞基凞(家凞の父)の添削と思われるが、右の詠草二十五点以外で署名に「上」を有する詠草は、後西院のほかに後水尾院(延宝八年八月十九日の崩御以前)の宸筆及び勅点である可能性が考えられる。
ヘ、旧漢字や異体字を通行の字体に改め、また、読み易さを考慮して適宜私に句読点や括弧などを施している箇所がある。
一、各詠草等の末に▼を設け、詠草などの形態・大きさ(縦×横、単位はセンチメートル)・端書き(和歌本文と同じ面の端に書かれたもの)や端裏書き(和歌本文の裏面の端に書かれたもの)などの情報を記した。また、年代不詳の詠草のうち、書風から推測して延宝・天和・貞享年間に書写された可能性が高いと考えられるものに関しては、「若書き」と記した。
一、詠草などの形態は、以下のように分類した。
・「折詠草(おりえいそう)」=紙を横に二つ折りにして、いわゆる折紙の形にして書いた詠草。名称は、朝廷で伝統的に用いられた入木道の書式を著した『持明院殿御家伝』に拠る。
・「竪詠草(たてえいそう)」=本来紙を竪に一つ折り、さらにそれを五つに折って書いた詠草。但し、本書では紙を横に折って書いたとは認められない(すなわち、紙を竪のままに用いている)詠草を指す。名称の依拠は同右。
・「継紙(つぎがみ)」=紙を横に長く継いだもの。巻子状態だが表紙や軸がない。名称の依拠は春名好重氏『古筆大辞典』(淡交社、昭和五十四年)及び堀川貴司氏『書誌学入門』(勉誠出版、平成二十二年)に拠る。
・「切紙(きりがみ)」=折詠草を半分に切ったもの。ないし、大小さまざまの大きさに切られたもの。名称の依拠は同右。
なお、このほかに、懐紙・短冊・書状なども存在する。